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福岡から約60分。縄文杉や『もののけ姫』の森だけではない地元ガイドが唸る屋久島の本質スポット

人気都市・福岡を訪れる人も、福岡に暮らす人も意外と知らないのが、「福岡は離島も近い」こと。福岡を楽しむみなさんにお届けしたい、福岡から近い離島の魅力を、島に暮らす地元ライターが紹介します。

(取材・文 屋久島ライター 菊池淑廣)

地元ガイドが唸る屋久島の自然スポット

屋久島の見どころといえば、言わずと知れた「縄文杉」と「白谷雲水峡」ですね。いずれもガイドブックなどで詳しく紹介されていて、屋久島を訪れる多くの観光客が目指す「トレッキングの聖地」でもあります。

樹齢7,200年ともいわれる縄文杉の圧倒的な存在感。映画『もののけ姫』のモチーフになったといわれる白谷雲水峡の苔の濃密さ。確かにどちらも素晴らしい場所です。

僕は山岳ガイドの仕事もしていますが、実は僕たちガイドが屋久島の素晴らしさに思わず唸ってしまう場所は、別の場所にもあります。今回は、そんな屋久島の「本質を物語る」自然のスポットを紹介します。

静かな森歩きが楽しめる「ヤクスギランド」エリア

ひとつはガイドブックに載るものの、紹介されるスペースは限られ、注目度としてもさほど高くない「ヤクスギランド」。

「ランド」という名前のせいか軽視されやすい森ですが、樹齢千年を超える屋久杉が多く林立する重厚な森が広がっています。

ヤクスギランドが素晴らしいのは、「やくすぎの森コース(約3キロ・所要約150分)」の最奥地、「蛇紋杉(じゃもんすぎ)」という屋久杉の倒木が見られる場所から「太忠岳(たちゅうだけ)」方面へ向かうルート。

途中に「天文(てんもん)の森」と呼ばれるエリアがあり、蛇紋杉からそこに至るまでの森が非常に素晴らしく、僕たちガイドが何度歩いても思わず吐息を漏らしてしまうほど。

屋久杉の巨木が立ち並ぶ天然林と濃密な苔が織り成す、まさしく屋久島を象徴するような景観は、縄文杉のルートでも白谷雲水峡のエリアでも見られない奥深さがあります。

さらに天文の森の一画には「釈迦杉(しゃかすぎ)」と呼ばれる屋久杉の巨木がひっそりと立っています。あまり知られていない屋久杉ですが、見る者を圧倒する存在感を放っています。


ちなみに僕のガイド会社では、以前から「天文の森トレッキング」というツアー名でこのエリアのガイドをしていますが、2018年からヤクスギランドもエリアを広げて「天文の森コース(約4.4キロ・所要約210分)」を新設。最近では天文の森まで足を延ばす一般登山者を見かけるようになりましたが、今ならまだ人の少ない静かな森歩きが楽しめます。

「ヤクスギランド」エリアの詳細は屋久島観光協会や屋久島レクリエーションの森保護管理協議会のホームページをご覧ください。

●屋久島観光協会
http://yakukan.jp/

●屋久島レクリエーションの森保護管理協議会
http://y-rekumori.com/

往復約7時間で感動を味わう「黒味岳」

そしてもうひとつは、「黒味岳(くろみだけ)」。標高1831メートルを誇る、屋久島でも九州という括りでも6番目に高い山です。

屋久島の最高峰は「宮之浦岳(みやのうらだけ)」で、標高1936メートル。宮之浦岳はもちろん素晴らしい山ですし、何と言っても九州のてっぺんですから、登頂したときの達成感は十二分にあります。しかしながら、一般的な日帰りルートで往復約16キロ、10時間以上におよぶ行程は、僕たちガイドにとっても楽なコースではありません。

それに対して黒味岳は、往復約10キロ、7時間程度の行程で、宮之浦岳と同程度の風景と感動を味わえます。

ヤクスギやモミ、ツガといった巨木が立ち並ぶ樹林帯、清冽でどこまでも澄み切った水を湛える淀川(よどごう)、花之江河(はなのえごう)や小花之江河(こはなのえごう)といった高層湿原、そして森林限界を越えれば、まるで島とは思えない山岳風景が広がります。まさしく屋久島のいいところがすべて凝縮されたルートといえます。

意外に知られていないのですが、屋久島の世界自然遺産登録地は島全体の約20%。登録の主な根拠は、亜熱帯から冷温帯までの「植生の垂直分布」が顕著に見られること、日本固有のスギの天然林が優れた景観を呈していることなどです。

つまり縄文杉は、世界自然遺産登録の一根拠のさらに一要素でしかないということです。

白谷雲水峡は、国立公園であっても世界遺産地域ではありません。その点において黒味岳ルートは、比較的のんびりと屋久島の世界遺産たる自然を堪能できる、地元ガイドも唸るルートなのです。

僕の会社でも黒味岳登山のガイドツアーを催行していますので、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

●屋久島メッセンジャー
http://www.yakushima-messenger.com/ecotourguide/index.html

今やインターネットを介して様々な情報が手軽に入手できる便利な時代になりました。屋久島を紹介する情報もインターネット上にあふれていますが、一部には正確さに乏しい情報も見られます。

ですので、この記事を読んでくださった皆さまには、ぜひ「本質を見抜く」ことを意識していただけたらと思います。そうすればきっと、屋久島への島旅がより濃厚になり、本当にスゴイ自然を満喫していただけるはずです。