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地元目線で紹介。長崎・新上五島町の世界遺産「頭ヶ島の集落」の奥深さやおすすめを知る5つの知識

人気都市・福岡を訪れる人も、福岡に暮らす人も意外と知らないのが「福岡市は離島も近い」こと。福岡を楽しむみなさんにお届けしたい、福岡市内から直行できる離島の魅力を、島に暮らす地元ライターが紹介します。

(取材・文 新上五島ライター 竹内章)

世界遺産「頭ヶ島の集落」をより深く知る5つのポイント

福岡市内(博多港)から船の直行便が出ている長崎県の離島・五島列島の新上五島町。2018年、このエリアが最も注目を集めたことと言えば「頭ヶ島の集落」が世界文化遺産に登録されたことでした。

長崎と熊本の両県にまたがる12資産で構成される「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界遺産に登録されたのは2018年夏。新上五島町にある「頭ヶ島の集落」も構成資産の一つです。

そんな新上五島町には観光を楽しむ方も続々と訪れていますが、観光スポットをまわるだけではなかなか知り得ない奥深い話があることも確か。

そこで今回は「世界遺産の地」在住ライターが教える、地元目線による世界遺産の楽しみ方を紹介したいと思います!

その1「現役」の頭ヶ島天主堂

世界文化遺産の構成遺産である「頭ヶ島の集落」でシンボル的な存在として知られているのが頭ヶ島天主堂です。島の集落全体が世界遺産と言われても、どこを見学すればいいのかいまひとつ分かりにくいので、多くの人が頭ヶ島天主堂を見学に訪れます。

そんな頭ヶ島天主堂に足を踏み入れた多くの観光客が、こんな言葉を口にするといいます。

「この教会って、今は使われてないんですよね?」

いえいえ、頭ヶ島天主堂は「現役」なんです。頭ヶ島で暮らしている信者さんは6世帯11人(2018年12月現在)。そんな信者さんが月2回と週末に行われるミサに通われています。

小さな島の曲がりくねった山道を進んだ先にある教会なので「使われていない」と感じられる方もいらっしゃるようですが、不便に見える場所であっても、しっかりと信仰が息づいているのがこの島の姿なのです。

その2 教会にある「お花」の話

頭ヶ島天主堂には、いつもきれいなお花が飾られています。

これらはすべて生花ですが、実はこれらのお花は信者さんが用意しているもの。お花は信者さん自らが育てたりしながら、必要な時に教会に持っていくそうです。

新上五島町には、頭ヶ島を含め現役の教会が29もありますが、実はそのいずれの教会でも、お花は信者さんが用意しているそうです。教会で見かけるきれいなお花からも、島の信仰心を感じることができます。

ちなみに頭ヶ島天主堂では内外の掃除も、信者さんが2つのグループに分かれて行っています。信者さんにとって大事な場所ですので、観光にいらっしゃる時には、マナーを守ってごみを出さないようにしましょう。

その3 教会に使われている「石」の話

頭ヶ島天主堂の一番の特徴は「石造り」であること。国内でも非常に珍しいそうです。

この石は新上五島町で採れる砂岩ですが、実は信者さんもこの石を運んだそうです。頭ヶ島天主堂信徒代表・松井義喜さんが、昔の思い出として、こんな話をしてくれました。

「父母が頭ヶ島天主堂を作るのを手伝いました。集落の人は総出で日曜日もやりました。朝の祈りで天主堂に集まり、終わったら作業着に着替えたりしてね。石は方々から集めていたようです。一個、何キロぐらいあるんでしょう。ずいぶん重たいですが、みんな手作業でした」

完成まで約10年を費やしたという頭ヶ島天主堂。石造りの佇まいに重みを感じます。

その4 カトリックゆかりの「ふくれまんじゅう」

島には、昔から食べ継がれてきた伝統のおまんじゅう「ふくれまんじゅう」があります。

小麦粉に卵などを混ぜて練り上げ、丸く広げた後、あんこをのせて包み蒸し上げれば出来上がる「ふくれまんじゅう」にも、島のカトリックをめぐる物語があると伝えられています。

五島列島には、江戸時代に禁教による弾圧を逃れたカトリック信者が、本土から移住した歴史があります。カトリックでは、ミサなどの祭儀でキリストの「体」であるパン(=聖体)が神父から信者に与えられますが、禁教期は神父が島にいなかったのでミサを開くことができませんでした。

そこで信者は、パンと同じく麦が原料となる「ふくれまんじゅう」を食べることで「聖体」を口にした気持ちになっていたのでは、と言われています。

頭ヶ島の集落とは直接関係ありませんが、島のカトリックの歴史を知る意味でも、ぜひ味わっていただきたい「ふくれまんじゅう」は地元のスーパーでも購入できます。

その5 マツバギクが咲き誇るキリシタン墓地

「頭ヶ島の集落」には、キリシタン墓地と呼ばれる墓地があります。日本風の墓石に十字の石が乗る特徴的なお墓ですが、この墓地の敷地ではちょうどゴールデンウィーク頃にマツバギクが花を咲かせます。

青い海を背景に華やかなピンクの花々が咲き誇る美しい風景。新上五島町ならではのフォトジェニックスポットですので、ぜひこの時期に訪れることをおすすめします!

以上、新上五島町にある世界文化遺産をより深く味わっていただくポイントを参考にしていただき、みなさんの旅がより充実したものになることを祈っています。

<重要>頭ヶ島天主堂など世界遺産構成資産内にある教会の見学には事前連絡が必要になります。詳しくは「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産インフォメーションセンター」のホームページをご覧ください。