人気都市・福岡を訪れる人も、福岡に暮らす人も意外と知らないのが「福岡市は離島も近い」こと。福岡を楽しむみなさんにお届けしたい、福岡市内から直行できる離島の魅力を、島に暮らす地元ライターが紹介します。
(取材・文 新上五島ライター 竹内章)
島旅にありがちな落とし穴? 島の規模感を知ろう
「あれ、思っていたイメージと違うな......」
福岡から直行できる長崎県・五島列島の新上五島町。
僕がこの島に移住した後、都会で暮らす友人がたくさん島に遊びに来てくれましたが、こんなセリフを耳にする機会が多くありました。
旅好きな人でも、事前にみっちり現地情報をリサーチするタイプと、そうでないタイプに分かれますよね。
「リサーチしない派の人」の場合、現地で思わぬ発見や新鮮な驚きを楽しめる場合もありますが、地理的に閉ざされており、インフラも限られている島では、「思い込み」によって現地でプラン変更を余儀なくされることもしばしば。
そこで今回は新上五島町での旅をできるだけスムーズに楽しみたい人のために、島の規模感、地形、気候など、予備知識として頭に入れておくと便利な情報をご紹介したいと思います。
徒歩で1周は難しい、意外と広い島
「思っていたより大きい!」
新上五島町を初めて訪れる友人がまず驚くのが、島の大きさです。
新上五島町は7つの有人島と60の無人島で構成されており、一番大きいのは中通島(なかどおりじま)。最も人口が多く町の中心となる島で、面積は約168平方キロメートル。南北約39キロ、東西に約18キロあり、十字架のような形をしています。
例えば南端から北端まで車で行くと、1時間以上かかる中通島では、「もっと小さいと思っていて、徒歩か自転車で島を一周するつもりだった」という旅人の声も時々、耳に入ります。
「島」と聞くと、小さな島をイメージすることが多いのかしれません。(ちなみにRe島プロジェクトに出てくる壱岐、対馬、五島、屋久島も徒歩で一周するのは難しい大きな島です)
新上五島を効率よく観光するなら、レンタカーは必須! 路線バスもあり、のんびりとしたバスの旅も魅力的ですが、運行本数が非常に少ないので、時間に余裕がある人におすすめです。
新上五島でのレンタカー店一覧は「新上good町なび」のホームページをご参照ください。
アップダウンの激しい山がちな地形
同じ五島列島でも、南端にある五島市の中心島・福江島(ふくえじま|五島市)は比較的平坦な場所も多くあります。
だからか、新上五島町にもなだらかなイメージを持っている方がいらっしゃいますが、新上五島は山間部が多い島。
自転車を島に持ち込んで島内一周を目指す人も時折見かけますが、アップダウンが激しいところも多く、体力が求められます(アップダウンを使ったトレーニングにはおすすめです)。道路も、中心部を離れるとくねくねとした山道が延々と続きます。
余談ですが、車移動が当たり前の島では、島内で歩いたり自転車に乗ったりしていると妙に目立ってしまい、後日「おう、この前、あのあたりで歩いていただろう?」とか「自転車でどこにお出かけしていたんだ?」と、後で聞かれることもあります。
比較的温暖。だけど雪が積もることも......
新上五島の年間平均気温は17度前後で、比較的暖かいです。
ですが、雪が降る年もあって、僕が島に移住して間もないころには車が走れないくらい雪が積もったこともありました。
「五島列島の人は、一年中半袖で暮らしているんでしょ?」と思っていた知人もいましたが、冬はそれなりに寒く、風も強いので、冬場に遊びに来る際には、しっかりとした防寒対策をおすすめします。
また、秋から冬にかけては台風が襲来することが多い「台風常襲地域」でもあります。新上五島町は船でしか行き来できないため、台風シーズンになると船が欠航する機会も少なくありません。
僕の友人で、台風で船が欠航した関係で、島の滞在時間が半日ぐらいしか取れなかったケースもありました。
とはいえ、「ハプニングに遭った方が、旅は思い出に残る」と前向きにとらえたいのが島旅。想定外の出来事ものんびりと楽しめる心を持って来られると、島旅をたっぷり満喫できると思います。
そんな中でも、できるだけ旅をスムーズに進めたい方は、今回ご紹介した内容をぜひ参考にしてくださいね。