屋久島は山だけじゃない!フィッシングの達人をも唸らせる「釣り」の聖地で釣り体験
「トレッキングの聖地」である屋久島は、実は「フィッシングの聖地」でもあります。「大物」が狙える屋久島と隣島の口永良部島は、釣りファン憧れの島として知られています。ベテランの釣りマニアだけでなく、初心者でも十分楽しめるというので、釣り経験と海情報に乏しい登山ガイドでもある筆者が海釣りにチャレンジしてみました。
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(取材・文 屋久島ライター 菊池淑廣)
屋久島に来て、山へ行かない人たち
以前、釣り好きの旧友が釣り仲間と一緒に屋久島へ遊びに来てくれました。彼らは縄文杉や白谷雲水峡に訪れることもなく、ただの一日も屋久島の森を歩くことはせず、ひたすら釣りに明け暮れて帰っていきました。
「屋久島まで来て、森を見ずに帰るなんて、もったいない!」という僕の言葉に対して、
「そんな時間があるなら、釣りをしないともったいないよ!」と友人。
釣り好きの人たちは、僕たち山好きとはまったく別の価値観をもって屋久島を捉えているんだなぁと、妙に納得させられたことを覚えています。
また、島の友人からは、「屋久島に住んでいて、釣りをしないなんてもったいない!」などと言われることもしばしばあります。
僕も少年時代には、漫画「釣りキチ三平」を読んで釣りに夢中になっていたことがあり、チャンスがあれば屋久島で釣りをしてみたいという思いはありました。
そして今回、登山ガイドの仕事がひと段落する12月に入って、釣りの取材をさせていただくチャンスが巡ってきたのです。
屋久島では、川釣りはしない?
屋久島には数多くの川がありますが、釣りをするとなると、ほぼほぼ海釣りです。屋久島の川は、淡水魚がほとんど生息していないのです。
一般的に水がきれいなところでは、魚の餌となるプランクトンも少ないため、魚は生息できないと言われています。屋久島の川は、それだけきれいだということです。
それに対して海水魚は、数も種類も豊富。晩ごはんのおかずになるようなおいしい魚もたくさん生息しています。
ということで、今回の取材も、もちろん海釣り。
実は十数年前、屋久島へ移住して間もない頃、最低限の釣り道具をそろえて、我が子らを連れて安房の港へ堤防釣りに行ったことがありました。
釣りをするのはそれ以来で、そのときの釣果がゼロだったことが、屋久島で釣りが僕に趣味に至らなかったひとつの要因かもしれません……。
屋久島には、フィッシングガイドもいます!
「田中さん、海釣りはほぼ初心者ですけど、僕でも釣れますかね?」
「大丈夫です! 絶対に釣らせますから!」と、心強い言葉を返してくれたのは、フィッシングガイドをしている「屋久島 FISHING LIKE CLUB」の代表、田中誠さん。今回、ご協力をお願いしたフィッシングガイドです。
屋久島には、登山ガイドは数多くいますが、フィッシングガイドも決して多くはないものの、複数業者が活動しています。
屋久島出身の田中さんは、子供の頃から釣りに傾倒し、大好きな釣りを仕事にしたいと考えていたそうです。
「23歳のとき、フィッシングガイドとして起業し、鹿児島を拠点に九州全般を案内していました」(田中さん)
「リピーターさんを海外に案内することもありますし、国内で釣りをしたことがないのは北海道くらいかな(笑)」とのこと。
そんな経験豊富な田中さんですが、30歳で屋久島へUターンすると同時に、「屋久島 FISHING LIKE CLUB」を立ち上げて11年になるそうです。今では年間約1,000人の釣り客を案内するだけでなく、テレビや雑誌の取材も受けるほどで、屋久島では数少ないフィッシングガイドの一人として活躍されています。
「日本中で釣りをしてきましたが、地元の屋久島が“最強”でした(笑)。ここは、ちょうど黒潮が太平洋と日本海に分岐する場所で、魚種が多いうえに、とにかく魚のサイズがデカイんです!」
故郷の屋久島で夢を実現させ、事業も軌道に乗っている田中さんの表情は、実に生き生きとしていました。
屋久島は、アオリイカ釣りの聖地!
そんな「釣り愛」が止まらない田中さんに案内してもらったポイントは、屋久島の北部に位置する一湊(いっそう)の防波堤。
屋久島における釣りのベストシーズンは11~12月で、特に12月から4月にかけては「アオリイカ」がねらい目とのこと。
初心者におすすめの「カゴ釣り」
「菊池さん、まずはこれを着用してください」
そう言って田中さんから手渡されたのは、あまり馴染みのない物体。
「なんですか、コレ?」
「ライフジャケットです」
聞けば、落水して水を感知すると、自動で空気が入って膨張するライフジャケットだそう。今どき、こんなコンパクトで便利なものがあるとは知りませんでした。
登山においてもそうですが、自然の中で遊ぶためには、万一の事態に備える必要があるのです。
僕が今回体験させてもらったのは、「カゴ釣り」と呼ばれるもの。仕掛けのカゴに詰めた撒き餌(アミエビ)で魚を寄せ集め、ハリにつけたオキアミを食わせて釣るというもので、堤防釣りにおけるベーシックな釣り方だそうです。
エサの混ぜ方から仕掛けの作り方、さらにはエサの付け方からリールの使い方まで、懇切丁寧にレクチャーしてもらい、まずは第一投。
「竿さばきは上手ですね!」と田中さんに褒められ、
「一応、子供のころは釣りをしていましたからね! 野球もやっていたから投げる感覚は分かりますよ」と調子に乗って答えたものの、
「菊池さん、もうエサ付いていないですよ……」と言われ、リールを巻き上げると、ハリに付けたエサは魚に食べられたあと……。
一投目でうまく釣れるわけもなく、二投、三投と繰り返すも、アタリはなし。
「エサの付け方と投げ方は悪くないですよ。次はこんなふうに、(撒き餌を散らすための)竿のしゃくり方とタイミングを変えてみて」という田中さんのアドバイスとお手本にならってやってみると、効果てきめん!
次の瞬間、赤色のウキが水面からスッと沈み、反射的に竿をクイッと合わせると、ググっと手応えが!
「おっ! なんか掛かりましたよ!」と興奮気味にリールを巻き上げていくと、水面に青い魚影が。
「ん? アオブダイですね……」と、僕がちょっと残念そうにつぶやくと、
「これもフライにしたら、うまいんですよ!」と田中さん。
アオブダイは、屋久島ではスキューバダイビングやシュノーケリングでよく観ることのできる、馴染みのある魚のひとつ。沖縄ではよく食べるそうですが、屋久島ではあまり食べないと聞いたことがあったので、残念な気持ちが先走りました。
アオブダイは食中毒になる可能性があるようですが、田中さんによれば、内臓を取り除けばほぼ大丈夫とのことで、その場でさばいていただきました。
「メジナの1匹くらいは釣って帰りたいですね」という田中さんの期待に応えることができず、この日の釣果は、「アオブダイ」、「オビブダイ」、「オヤビッチャ」、「チョウチョウウオ」の4匹。
いずれも食べられるというので、田中さんにその場でさばいていただき、おまけに前日の夜に田中さんが釣りあげた「アオリイカ」と一緒にお持ち帰り。
その日の晩、僕が釣りあげた4匹の魚は唐揚げ、アオリイカは刺身にして、島の焼酎と一緒にありがたくいただきました。
アオリイカの刺身が絶品で何よりも美味であったことは、言うまでもありません。
トレッキングとフィッシングで、充実した島旅を!
屋久島を訪れる多くの人の目的は、登山やトレッキングですが、せっかく屋久島に来たのなら、山だけでなく海に注目してみるのもおすすめです。少しだけ滞在を延ばして、ハードな山歩きの翌日は、のんびりまったり釣りを楽しむ、というのも島旅らしい過ごし方といえそうです。
「釣りは一年中楽しめますし、釣りたい魚やご要望に応じて、堤防釣りや磯釣り、船釣りなど、何でもOKですよ! 初心者から上級者まで、釣りのことなら何でもご相談ください!」と田中さん。
道具もレンタルしてくれますので、手ぶらで気軽に釣りが楽しめます。屋久島で釣りをしてみたいという人は、相談してみてはいかがでしょうか。屋久島なら、山と海、両方遊べば、きっと充実した島旅となるでしょう。
<屋久島 FISHING LIKE CLUB>
鹿児島県熊毛郡屋久島町一湊2101
問い合わせ:090-8767-2640
ホームページ:https://coubic.com/yakushima_flc
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