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ネーミングに惑わされてはいけない。険しくて絶景あふれるヤクスギランドの真髄

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人気都市・福岡を訪れる人も、福岡に暮らす人も意外と知らないのが「福岡市は離島も近い」こと。福岡を楽しむみなさんにお届けしたい、福岡市内から直行できる離島の魅力を、島に暮らす地元ライターが紹介します。

(取材・文 屋久島ライター 菊池淑廣)

屋久島へのアクセス情報はこちらから>>

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ヤクスギランドって、どんなとこ?

ヤクスギランドって、何があるんですか?

観光客によく聞かれる質問のひとつです。漠然とした質問ですが、おそらくその主旨は、「どのような施設が揃っているのか?」ということなのだろうと推察できます。

「ただの森です……」

僕は、決まってそう答えていますが、質問者は、大概きょとんとした表情を浮かべて返してきます。

「遊具みたいなものがあるわけではないんですか?」

先入観とは怖いもので、どうやら「ランド」というワードが人々の想像力を掻き立てるようです。

 

 

では、ヤクスギランドは、いったいどんな森なのか……。

一般的な情報はガイドブックに委ねるとして、ここでは知られざるヤクスギランドの真髄を、登山ガイドの視点で紹介したいと思います。

標高1000メートル付近に広がるヤクスギランドは、屋久島の人気トレッキングエリア・白谷雲水峡と並ぶ「自然休養林」で、屋久杉林の「散策」や「トレッキング」が楽しめるエリアです。

所要時間ごとにコースが設定されていて、普段履きで「散策」が楽しめるのは、30分および50分コースのみ。それ以上の80分、150分、210分コースを歩く場合は、トレッキングシューズなどの登山装備が必要になります。

また、これらの所要時間は、休憩なしでテンポよく歩いた場合の目安です。個人差もありますが、「コースタイムの1.5倍」くらいの計算をして計画するとよいでしょう。

 

散策程度なら50分コースまで。80分以上は本格登山!

ヤクスギランドの園内には、携帯トイレが使用できる専用ブースが一基あるだけで、普通のトイレはありません。

出発前に登山口で済ませておきましょう。それでも心配な方は、入口の受付棟で携帯トイレを販売しているので、購入しておくと安心です。

また、登山口には「森泉(しんせん)」という施設があります。休憩スペース、売店、トイレがあるのみで、レストランや自販機はなく、売店は屋久杉工芸品などの土産品を扱っているだけで食料品などはありません(売店は2020年10月現在、休業中)。

「現金だけ持って手ぶらで行ったら、何もなかった……」

などという話を聞くこともあります。必要なものは、事前に麓で用意していきましょう。

 

トイレを済ませて、受付棟で1人500円の協力金を支払って園内に入ると、なるほど「ランド」らしい遊歩道が続きます。というのは、50分コースまでの話。

80分コースへと道を辿り、吊り橋を渡って山に入ると道は一変。道幅はぐっと狭くなり、いかにも滑りそうな木の階段や岩の道が続きます。

150分コースへ進めば、さらに道は険しくなり、急斜面あり、倒木ありの、なかなかワイルドな登山道が続きます。

 

森の奥へと歩を進めるに連れ、苔と屋久杉の濃密な風景が展開し、思わず息を呑みます。これもまた、「ランド」というワードからはイメージできない要素でしょう。

 

210分コースは、ヤクスギランドの真骨頂!

150分と210分コースの分岐点には「、蛇紋杉(じゃもんすぎ)」と呼ばれる屋久杉の倒木があり、休憩できる東屋と携帯トイレブースがあります。

ここで一息入れて水分補給をしたら、210分コースへ。

 

分岐から続く「太忠岳(たちゅうだけ)歩道」を10分も歩けば、「ランド」のイメージを完全に覆す、素敵な風景に出会えます。

「小花山(こはなやま)」と呼ばれる一帯で、苔と屋久杉が織りなす、まさしく屋久島を象徴する風景が広がります。

 

やがて「天文(てんもん)の森」と呼ばれるエリアに辿り着きます。

このコースの正式名称が「天文の森・210分コース」となっているだけに、ここで引き返す登山者が多いのですが、ちょっと待った!

その先をあと3分下ってください!

ここで引き返そうとしている登山客を見かけたときには、いつも言うセリフです。

そこには「釈迦杉(しゃかすぎ)」と呼ばれる、並々ならぬオーラを放つ屋久杉の巨木が鎮座しています。

僕の好きな屋久杉のひとつです。釈迦杉の根本を流れる苔むす沢も美しく、人気の白谷雲水峡に勝るとも劣らない絶景が広がっています。

今回は、ガイドブックに載らないヤクスギランドの真髄を紹介しました。

もはや「ランド」のイメージは消え去り、この森の奥深さに、読者の皆さんは気づいていることでしょう。

登山ガイドでもある僕からのアドバイスは、ひとつだけ。

先入観は捨て去り、しっかりした登山装備をして、濃密な苔と屋久杉の林立する深い森を堪能してください。

次回の屋久島旅は、ぜひヤクスギランドへ!


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