食料自給率が高い壱岐島。弥生時代から続く田んぼで稲刈り体験!
2020.11.18 (WED)
九州最大の都市・福岡の中心部の港からの高速船で約1時間で渡島できる壱岐。
すすきやコスモスの花が揺れる時期になると、島のあちこちで稲刈りが始まります。
今回は原の辻遺跡の体験水田で行われた「古代米づくり体験刈り入れ祭」に参加してきました。
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(取材・文 壱岐島ライター 小野里 寛子)
海だけじゃない食材の宝庫
壱岐は四方を海に囲まれていることもあり、漁業が盛んなイメージを持っている方が多いかもしれません。
実は豊富な地下水や土壌に恵まれているため、壱岐牛などの牛の飼育や米作り、野菜作りも盛んに行われています。食料自給率が高いので、自給自足が目指せる豊かな島なんです。
その豊かさから全国各地で異常気象などが相次いだ江戸時代にも、壱岐では飢饉が起きた記録がなかったとか。
私はそのような環境で自給自足が目指せるところ点に惹かれて移住しました。
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弥生時代から続く米作り
島のあちこちに田んぼがあります。その中でも見どころは芦辺町と石田町にある深江田原(ふかえたばる)というエリア。
なんと弥生時代から2,000年以上も続いている米作りの場所で、中国の歴史書「魏志倭人伝」の中にも、このことが書かれています。
また長崎県で2番目に広い平野でもあり、一面は絵に描いたような田園風景、その奥には山々が!緑あふれるのどかな雰囲気は、写真撮影にもおすすめです。
このエリアの真ん中にある「原の辻(はるのつじ)遺跡」。登呂遺跡(静岡県)や吉野ヶ里遺跡(佐賀県)に並ぶ日本三大弥生集落遺跡として国の特別史跡に指定されています。
魏志倭人伝に記された「一支国(いきこく)」の王都にも特定されている、日本(倭国)の玄関口ともいえる場所。大陸との交易や交流によって最先端のものがそろう弥生人憧れの地でした。
その遺跡内にある施設「原の辻(はるのつじ)ガイダンス」の前には、弥生時代の稲作を再現した体験水田があります。
ここでは古代米の「赤米」「黒米」「緑米」が栽培されています。
雑草や害虫を食べてくれるアイガモを放鳥させたり、天日と秋の風でじわじわと乾燥させ旨味を守る天日干しなど、昔ながらの無農薬農法のアイガモ農法を継承し米作りが行われています。
田植えから収穫などに参加できるイベントが毎年行われていて、楽しみにしている島民も多いのだとか。今回は「古代米刈り入れ祭」に参加してきました。
石庖丁で?弥生時代の稲刈り体験
刈り入れ祭は、田んぼに実った稲穂を摘み取るイベントです。その目玉は石庖丁を使って収穫すること。
石庖丁を使ったことはありますか?
そういえば歴史の本で見た…という方もいるかもしれません。私はこのイベントではじめて手にしました。
石庖丁は稲などの穀物を収穫するときに使われた道具です。現代は鎌などで根もとから刈ることが主流ですが、古代では石庖丁で穂の部分のみを摘み取っていたそうです。
石庖丁の2つの穴に通した紐を指に引っ掛け、穂首の下から刃先をあてて返すように曲げると、ぷちんと刈ることができます。昔の人はこのように一つ一つを丁寧に刈り取り、米作りを行っていたのですね。
弥生時代をより体験したい参加者は貫頭衣(かんとうい)も貸してもらえます。貫頭衣は布の中央に穴をあけ、その穴に頭を通す衣服で、弥生時代は一般的な服装だったそうです。
大切に守られてきた田んぼで、弥生時代の衣服を身に着け、一つ一つ丁寧に稲を摘み取りながら、広がっていたであろう古代の原風景に思いを馳せます。
お米をいただけることや、太陽と大地の恵みをいつの間にか当たり前にしていたことに気づき、感謝や尊敬の気持ちが溢れました。
今はネットで何でも物や情報がスピーディに手に入る時代ですが、こうやって昔ながらの体験をしながら食のルーツを学ぶことで、地に足が着いていくような、本当の豊かさについて感じることができました。ぜひ大人にも体験して感じていただきたいイベントだと思います。
今回収穫した稲は天日干しされて、11月に行われる古代米づくりの収穫祭でいただくことができるそうです。
「古代米づくり体験」のイベントは、毎年5月に“お田植え祭”、6月に田植えが無事に終了したことへの感謝とアイガモを放鳥する“さなぶり祭”、10月に石庖丁を使った稲刈り体験ができる“刈り入れ祭”、11月に刈り取った古代米の料理をいただける“収穫祭”が行われています。
どなたでも参加ができるそうなので、食のルーツに触れたい方は参加されてみてはいかがでしょうか。
【古代米づくり体験 秋の収穫祭】
2020年11月21日(土) 午前10時~午後2時
参加費:無料 事前予約不要
場所:原の辻ガイダンス前体験水田
Google map
https://goo.gl/maps/CoiJ8WQVZZMPgStB6
【お問い合わせ先】
原の辻ガイダンス内 一支國研究会
電話 0920-45-2065
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