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廃業を決めたかまぼこ屋さん 島の食文化を後世に残したい

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長崎県・新上五島町を代表する特産物のひとつが「かまぼこ」。

今回は廃業を決めた島のかまぼこ屋さんと、その味を何とか残したいと願う人の姿をご紹介します。

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島を代表する食文化のひとつ「かまぼこ」の灯を消すな

離島では、魚介類が島人の食を支えてきた歴史がありますが、家庭の味として長年、親しまれているのが「かまぼこ」。

新上五島町でも、以前はかまぼこ屋さんがたくさんあったものの、今ではわずか数件に。

2021年冬にも新たに廃業を決断したお店がありましたが、島を代表する食文化の灯を消してはいけないと願う人たちもいます。

(取材・文 新上五島ライター 竹内章)

上五島

熟練の手さばき

「やっぱり手さばきが違うよね……。すり身がイキイキしている!」

2021年2月初旬、新上五島町奈摩郷にあるかまぼこ屋「安田蒲鉾店」の作業所。

代表の安田茂且さん(72)が、かまぼこの原料となるすり身をヘラで手際よく練る姿を見ていた2人が、思わず声を漏らしました。

 

この2人は、島で観光産業の発展業務を担う「新上五島町観光物産協会」職員の中谷幸実さん(49)と島元敬三さん(45)。

2020年末から、安田蒲鉾店でかまぼこづくりをお手伝いしていました。

 

それには訳があります。

安田蒲鉾店は、2021年2月末で廃業することを決定。後継者不在や高齢化が理由でした。そのことを聞きつけた2人が、島を代表する味覚であるかまぼこのお店が何らかの形で存続する道はないかと模索するため、安田さんの元へ通い始めたと言います。

この時点で、島にはかまぼこ屋さんわずか数件しかありませんでした。

 

島根にルーツを持つ安田蒲鉾店

安田さんは、実母の眞子さん(90)と二人三脚でかまぼこを作ってきました。

眞子さんは、実は島根県出身。19歳のころ島に嫁いできました。職人歴70年超ですね、と僕が声をかけると、少し恥ずかしそうに笑顔を見せました。

 

島には戦前、島根から移住した一団がいて、底引き網漁で生計を立てている人がいました。

島の人はアジなどの青物でかまぼこを作ることが多いですが、安田さんは島根の同胞が底引きで取ったエソやカナガシラといった島では珍しい魚を材料にしていました。

味が非常に良く人気があって、昔はずいぶん遠方まで配達に行ったそうです。

 

昭和40年代に底引きをする人がいなくなると、五島近海で獲れるトビウオやアジなどを使ったかまぼこを製造するように。いったん蒸してから焼き目を入れる「厚焼きかまぼこ」が看板商品です。

 

後継者がいれば、サポーター役になりたい

高齢化や後継者不在により、4、5年前から廃業を考えていたという安田さん。

高校を卒業してから、ずっとかまぼこを作り続けてきました。「50年以上続けたかまぼこづくりなので、やめるのは淋しいです」としんみり。

 

一方で「かまぼこ作りで生計を立てたい、という人がいれば、僕がサポーターとして応援していきたいと思っています」とも。

 

町観光物産協会の中谷さんは「後継者を探すのが私たちの役目。何とか島の貴重な食文化を後世に残したいです」と意気込んでいます。


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