離島を通じて人々を笑顔にしたい。壱岐へ家族で移住した、りとまる 奥村 洋行さんの取組
2022.03.03 (THU)
福岡から高速船で約1時間で行くことができる壱岐島。
“離島に暮らすように泊まる”をコンセプトに、2021年6月にオープンした一棟貸しヴィラ「ritomaru villa @ hatsuyama iki」。
オーナーの奥村 洋行さんは帝国ホテルやリッツカールトンなど様々なホテル勤務を経て、離島創造に魅力を感じ、壱岐に家族で移住。
宿泊業を経営し、空き家問題の解決をしたり、里親制度を活用して地域活性化のための活動をされています。今回はそのような取り組みの背景や想いについて伺わせていただきました。
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(取材・文 壱岐島ライター 小野里 寛子)
ご縁と繋がりを大切にした仕事
2021年にオープンした、ホテルのおもてなし、バトラーサービスのような感じで一棟貸しができる「ritomaru villa @ hatsuyama iki」の運営や、宿泊業に関するコンサルティングなどを手掛けています。お客様とスタッフ、というよりも、人と人との繋がりを大切にし、等身大で接客し、家族や友人のような親しみのある関係を目指しています。
また、個人的には壱岐の学校へ通いたい小中学生の里親制度の「壱岐市いきっこ留学」で、島外の子どもの受け入れを行っています。宿泊業も里親制度のいずれも、人と人の繋がりが共通点です。いただいたご縁をとても大切にしています。
転勤で住んだ壱岐が忘れられなかった
壱岐に移住したきっかけは、以前働いていたホテルでの転勤がきっかけです。4年ほど前に、単身赴任で壱岐へ移住しました。職業柄、これまで日本の様々な場所に住んできましたが、その中でも壱岐はずっと住んでいけそうな心地良さがありました。
その後、大阪へ転勤になりましたが、都会へ戻ってみると離島や田舎生活での自然豊かな生活が良かったと思ってしまい、壱岐を忘れることができませんでした。そんな中、ご縁があって壱岐で創業することになり、家族で壱岐へ移住しました。
地元の方の想いを大切に、島の空き家問題を解決する
20年間ほど、ホテルの仕事を通して日本各地で暮らしていく中で、地方や離島には眠っている価値がたくさんあるように感じていました。
特に壱岐などの離島の多くは、素晴らしい自然や歴史、文化などが残っていたり、自然の恵みがつまった豊かな食材など、魅力が溢れている一方で、まだまだ知られていない現状があります。そんなことに気づくたびに「もっと多くの人に知っていただきたい」、「離島だからこそできる、豊かな生き方を届けたい」という想いが溢れました。
そんな中、地元の方々との交流を通して、抱えている悩みや問題を知りました。一つは不動産、空き家問題です。島内には運用に困っている多くの遊休不動産があります。新しい建物を作ることは簡単かもしれませんが、今あるものを大切に知恵やアイデアを出してリノベーションして、再生することにこそ価値があるのではと思ったのです。
島外に出られたオーナーさんはなかなか島へ戻りづらくなるものですが、自分の思い出の場所が廃れてしまったり、なくなってしまうのは寂しいことですよね。リノベーションをすることで、オーナーさんの大切な思い出がつまった家を残すことができ、宿泊施設にすることで、オーナーさんがふるさとへ帰ることもできるようになります。リノベーションを通して、そういった想いやご縁も残せるのではと思い、創業を決意しました。
家族で移住して事業を始めることは勇気がいることもありましたが、ご縁があって物件との出会いがあり、これまでもご縁で動いてきた人生だったので、チャレンジしてみようと思いました。
会社を設立して1年目になりますが、島の南側の初山エリアにオープンした「ritomaru villa @ hatsuyama iki」を皮切りに、今後もエリアや物件ならではの魅力を活かした宿泊施設のオープンを予定しています。
里親制度を通して地域貢献へ
空き家問題の次にできることとして取り組んでいるのが、「壱岐市いきっこ留学」です。「壱岐市いきっこ留学」とは、壱岐市内の小・中学校に入学または転学を希望する児童及び生徒の里親として受け入れて、一緒に暮らす里親制度です。日本全国から留学生がやってきていて、現在1名の留学生と暮らしています。
留学生の子どもは、地元を離れた環境でものびのびと生活できているようです。親元を離れることで、親御さんの大切さを感じられるようになるなどの良い影響があるようでした。
「壱岐市いきっこ留学」は、もともとは市が交流人口の増加のために始めた制度ですが、
実際に取り組んでみると、その効果は交流人口の増加だけにはとどまらないと思いました。うちには小学校6年生の娘がいるのですが、お互い高め合っているようで、良い刺激になっているようです。子どもが好きな妻も、子育てのやりがいが増えてとても喜んでいます。
子どもにとっても成長や問題解決のきっかけにもなっているし、受け入れる家族にとっても日々の生活に対してのいい意味での緊張感ができるなどの良い影響がありました。
また、子どもが増えることで近所のみなさんにも喜ばれていて、先日は子どもたちを釣りに連れて行ってくれました。里親として受け入れることを通して、少子高齢化や過疎化などの解決に繫がる可能性を感じています。
そして、この制度は受け入れ家庭へ生活費やサポートの補助費用をいただくことができます。
子どもを育てた経験のある人は経験を活かせた仕事としても取り組めるし、子どもを育てたい方にとっても擬似体験になります。また、コロナ禍で職を失った方にとっても、仕事として取り組める可能性もあるので、より多くの方へ知っていただけたらと思うし、今後も広げていきたいことの一つです。
奥村さんが考える壱岐の魅力
食材の豊富さ、歴史など色々あるのですが、何より思うのは自然環境のバランスがよく、土地の豊かさがあるところ。壱岐は開発しつくされた場所ではないので、まだまだ可能性に溢れています。そんなキャンバスを描ける余地があるところに可能性を感じています。
今後やっていきたいこと
ritomaru villa @ hatsuyama iki
壱岐市いきっこ留学制度
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